生産計画:部品表から実コストまで
多くの製造企業では、現場責任者の経験に基づいて計画を立てています。これはしばらくの間はうまくいきます。しかし、製品の品揃えが増えたり、同じ原材料が複数の製品に使用されたり、リードタイムが長くなったりすると、この方法は通用しなくなります。 その時点で、「この注文を受注した場合、材料は確保できるか、納期は守れるか、そしてコストはいくらかかるか」という疑問が生じます。
これら3つの疑問に答えることが、まさにMRPの役割です。一見複雑に見えますが、その基盤となるのは「部品表(BOM)」という単一のデータ構造に他なりません。
基礎となるもの:部品表(BOM)
- 部品リストと数量: 単品単位ではなく、定義されたロットサイズで指定された方が信頼性が高くなります。
- スクラップ率: 切断、公差、または品質の問題により失われる材料の割合です。BOMにこの情報を含めない場合、材料は常に不足してしまいます。
- 工程: どの作業拠点で、どのくらいの時間がかかるか。生産能力計画はこれに基づきます。
- サブアセンブリの階層: 多階層の製造では、各階層ごとに独自のBOMが必要です。1つの階層に平坦化してしまうと、仕掛品が把握できなくなります。
- 代替部品: 主要な材料が入手できない場合の代替品です。これにより、供給の混乱時でも計画を維持できます。
作業指示書:計画を現場へ反映させる
- 作成: 顧客からの注文や在庫補充の必要性によってトリガーされます。
- 材料の予約: 必要な部品が確保されるため、他の作業指示書でそれらを使用することはできません。
- 現場への引き出し: 材料が倉庫から生産現場へ移動します。これは在庫移動にあたるため、記録する必要があります。
- 生産報告: 完成数量、不良品、および所要時間が報告されます。
- 完成品受入: 生産物が在庫に計上され、その原価が算出されます。
- 完了処理: 未使用の材料は倉庫に戻されます。
これらのいずれかの手順を省略すると、在庫と原価の両方に不整合が生じます。最も頻繁に省略される手順は、余った材料の返却です。
MRPの実際の計算方法
計算は見た目よりも単純です。システムは、すべての材料について次のように問いかけます:
所要量(未完了の作業指示書+受注+安全在庫)から利用可能量(現在の在庫+入荷予定の購入発注書)を差し引いたものが、購入数量となります。
その後、リードタイムを遡って計算し、発注すべき時期を決定します。その精度は、3つの入力値に依存します。すなわち、BOMの正確さ、在庫の正確さ、そしてリードタイムの正確さです。いずれか一つでも誤っていると、結果も誤ったものになってしまいます。
生産能力計画
- ボトルネックを特定してください。 すべての作業センターを詳細にスケジューリングするよりも、生産ラインの制約となっている1つの作業センターに焦点を当てるだけで、ほとんどの企業にとっては十分です。
- セットアップ時間を考慮する。 小ロット生産の場合、切り替え時間は総時間の半分を占めることがあります。
- 計画されたダウンタイムを差し引く。 メンテナンス、シフト間の空き時間、休日などは、利用可能な生産能力から差し引かなければなりません。
生産コスト
- 直接材料費: 作業指示書に基づいて引き出された材料の在庫原価(スクラップを含む)。
- 直接労務費: 報告された作業時間に、作業拠点の時間単価を乗じた金額です。
- 製造間接費: エネルギー費、保守費、減価償却費、および生産管理費を、機械稼働時間または労働時間に配分したものです。
標準原価と実際原価の差異は、生産効率を測る上で最も信頼できる指標です。一貫して一方向への差異が見られる場合は、BOMが実態を反映していないか、標準工数が古くなっているかのいずれかを意味します。
どこから始めるか
- 1ヶ月目: BOMを作成し、実際の現場での使用状況と照らし合わせて検証します。まずは生産量の最も多い製品のみから始めます。
- 2ヶ月目: 作業指示書を「開始」から「完了」まで実行します。材料の発行および完成品の受入の仕訳を確定します。
- 3ヶ月目: MRPを実行し、その提案内容を購買部門が実際に行ったであろう対応と比較します。ただし、この段階ではまだ自動発注を行わないようにしてください。
要約
生産計画の質は、部品表(BOM)の質に比例します。BOMが実態を反映していない場合、いかなるMRPアルゴリズムも正しい答えを導き出すことはできません。 まず現場の実情に基づいてBOMの妥当性を確認し、次に作業指示書のフローを確立し、最後にMRPを有効にしてください。
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